ガスコンロがつかない!【修理屋が教える】素人でもわかる原因と解決方法
私は、ガス会社に勤めていて、ガスコンロの修理も担当しております。
そんな私が、コンロがつかないという依頼で修理に行くと・・・。半分以上が、素人でもできることで直ってしまうんです。
そんなちょっとしたことで、出張料金や修理代金を払うのはもったいないと思います。
そこで今回は、ガスコンロがつかなくなったとき、修理を依頼する前に自分でチェックできることを症状別に書いていきます。
大きく分けて、
・まったく火がつかない
・火はつくがボタンから手を離すと消える
・点火ボタンが押せない
の順で書いていきますので、下の目次をタップし、症状にあったものを読んでください。
絶対にやってはいけないこと
まずはじめに、注意事項として、絶対にやってはいけないことを書いておきます。
それは、何度か点火を試したあとに、ライターなどで火をつけようとすることです。
ガスコンロは、点火ボタンを押しているときは安全装置が解除され、火がついていなくてもガスが出ます。
それを何度か繰り返すと、ガス漏れと同じ状態になるんですね。
そこにライターなどで火をつけようとすると、火柱が上がり危険です。
最悪、爆発のリスクもありますので、絶対にやめてください。
それと、無理に分解するのもガス器具なので危険です。これもやめてください。
注意書きが長くなりました。では、自分でチェックできるポイントを見ていきましょう。
まったく火がつかない
はじめに、まったく火がつかない場合に考えられる、原因と対処方法を書いていきます。
火はつかないけどガスの臭いはする
まずは、火がつかないけれども、ガスの臭いはする場合です。
ガスコンロに火がつかなくても、点火ボタンを押せばガスは出ます。
なので、ガスに問題がなければ、火がつかないときはガス臭くなります。
言い換えると、ガス臭くなるのに火がつかないということは、点火動作に問題があって、ガスには問題がないということです。
なので、このような症状のときは、点火動作の部分を疑っていきましょう。
パチパチという音はする
そのなかでも、点火ボタンを押したときにパチパチという音がするときは、以下の5つを疑います。
点火プラグに何か付いていないか?
上の写真の丸で囲んだ部品を、点火プラグといいます。
この部分に、ススやゴミが付いていると、点火するための火花がうまく飛ばないので、火がつきません。
この場合、点火プラグの汚れを、爪やブラシなどで落とすと、火が点くようになります。
バーナーキャップが濡れていないか?
バーナーキャップが濡れていても、火が点きません。
これは、バーナーキャップを洗ったあとや、吹きこぼしてしまったあとに起こります。
バーナーキャップを外すと、上の写真のように裏側がギザギザになっています。この隙間に水分が残っているとうまくガスが出なくて火がつかないんです。
この場合、このギザギザの部分の水分を拭き取ってあげれば、火がつくようになります。
バーナーキャップにススがたまっていないか?
バーナーキャップにススがたまっていても、火が点きません。
。
上の写真の黄色い丸で囲んだ部品を点火プラグといって、この部分から火花が飛ぶことでガスに火が点くんです。
しかし、点火プラグに面した赤い丸の部分の溝にススがたまっていると、この部分だけガスがでなくなるので、火花が飛んでもコンロに火が点きません。
バーナーキャップを外して、何かが詰まっていたら、それを取り除くだけで火がつくようになります。
バーナーキャップはズレていないか?
上の写真のように、バーナーキャップがズレていても火がつきません。
掃除をしたときや、鍋などがぶつかってしまったときに、バーナーキャップがズレることがあります。
バーナーキャップがズレていると、ガスがちゃんと出なかったり、うまく火花が飛ばなかったりして、火がつきません。
バーナーキャップがしっかりとハマっていると、手で回そうとしても回らないのですが、ズレていると簡単に回ってしまいます。
この場合、しっかりとはめることで火がつくようになります。
アルミの汁受けはズレていないか?
下のリンクのような、100円ショップなどで売っているアルミ製の汁受けを使っている場合には、これが原因で火がつかないことがあります。
この汁受けが、点火プラグや熱電対に近づきすぎると、点火のための火花がちゃんと飛ばせなかったりして火が点かなくなります。
これを外して試してください。
パチパチという音がない
次に、パチパチというスパーク音がしない場合を説明していきます。
パチパチという音がしないときは、点火するための火花を飛ばす、電気がきていないということです。
なので、以下の3つを疑います。
電池の向きが逆ではないか?
電池を交換したあとに、パチパチという音がしなくなったときは、電池の向きが逆という可能性が高いです。
「電池の向きが逆なんて、初歩的なミス」と感じるかもしれませんが、実際に修理に行くと結構あります。
まずは、電池の向きを確認して下さい。
電池の接触不良ではないか?
何かの拍子に電池がズレて接触不良になり、パチパチしないこともあります。
電池を一度外して入れ直してみる、電池を入れてからクルクルと回してみるなどして、もう一度点火してみて下さい。
これで、電池の接触が回復し、火がつくようになる場合もあります。
電気系統の故障ではないか?
以上の2つを試してみても、パチパチと音がしないのであれば、電気系統の部品の故障が考えられます。
マイクロスイッチかイグナイタという部品を交換すれば直るのですが、ここは素人では難しいので、業者に依頼することをオススメします。
ガスの臭いがしない
次は、ガスの臭いがしない場合の原因と対処方法について書いていきます。
ガスの臭いがしない場合は、ガスコンロまで、ガスが供給されていないことが考えられます。
ですので、以下の4つをチェックしましょう。
ガスの元栓は開いているか?
ガス臭くならないとき、一番始めにチェックするのが、ガスの元栓が開いているかです。
普段は元栓を閉めない家庭でも、親戚や修理業者などがガスコンロを使った場合には、その方が元栓を締めている可能性もあります。
まずは、元栓が開いているかをチェックして下さい。
ゴムホースが折れていないか?
お使いのコンロがガステーブルの場合には、ゴムホースが折れている可能性があります。
リンナイ ガステーブル 水がいらない片面焼グリル プロパンガスLPG用 左強火力 ブラック色 KGM64BK2L(LPG)
ガステーブルとは、上のような商品で、簡単に動かせるガスコンロです。
(ちなみにキッチンと一体型になっていて動かせないコンロはビルトインコンロといいます)
ガステーブルと元栓は、ゴムホースで接続されていて、掃除などでガスコンロを動かしたとき、このホースが折れたり潰れたりしていると、ガスが流れないので火が点きません。
ゴムホースが折れていないかを確認して下さい。
ヒューズコックが作動していないか?
お使いのコンロがガステーブルの場合には、ヒューズコックが作動している可能性もあります。
ガステーブルはゴムホースで繋がれているので、ホースが切れた場合に備えて、ガスの元栓がヒューズコックというガスを止める機能を持ったものになっています。
この機能が何かの拍子に働いてしまい、ガスが出なくなることがあるんです。
その場合、一度ガスの元栓を締めて再び開けるとガスが出るようになります。
確率は少ないのですが、これが原因でガスが出ないということもあるので、試してみる価値はあります。
(これは、元栓の種類が違うのでビルトインコンロには当てはまりません)
メーターでガスが止まっていないか?
何らかの原因で、メーターでガスが止まっていることもあります。
最近のガスメーターは安全のためにかなり進歩していて、私よりも賢いくらいです(笑)
頭が良すぎるメーターが、異常な使用量などを検知するとガスを止めることがあるんですね。
上の写真の赤丸で囲んだ、ガスメーターの液晶部分に「ガス止」の表示がある場合や、ランプが点滅している場合には、メーターでガスが止まっています。
この場合、メーカーによっての違いはありますが、黄色の丸で囲んだボタンを長押しすれば復帰するのですが・・・。ボタンを押す前に、ご使用のガス会社に連絡することをオススメします。
火はつくがボタンから手を離すと消える
次は、点火ボタンを押しているときは火がつくけれども、手を離すと消える場合の原因と対処方法を書いていきます。
この場合は、以下の4つの原因が考えられます。
電池はありますか?
実は、ガスコンロの修理に行って一番多いのが、電池がないことです。
最近のコンロはセンサーが多く、安全にはなりましたが、電池の消耗が早いんです。
加えて、点火できるギリギリの電圧があっても、センサーを稼働し続けられないので、手を離すと火が消えてしまいます。
なので、最初は電池を疑ってみましょう。
電池交換の目安としては、最近のガスコンロですと、電池のランプが点灯します。
このランプがない場合は、点火動作の音で見分けます。パチ、パチ、パチと間延びした音がしていたら電池がない証拠です。
1秒間に1回しかパチパチ音がしなければ、電池がなくなっています。電池がある場合には、1秒に3回くらいパチパチと音がします。
パチパチ音が遅い場合は、まずは電池を交換してみて下さい。
(余談ですが、電池交換したら、この点火動作の音の違いを覚えておくと次に交換するときの目安になります)
熱電対に何か付いていませんか?
熱電対にゴミやススが付いているときも、手を離すと火が消えます。
熱電対とは、上の写真の丸で囲んだ突起物で、コンロの火が消えていないかを見張るセンサーです。
火が点いていないのにガスが出続けると、ガス漏れ状態になり、爆発する危険がありますよね?
それを防ぐために、このセンサーが火が点いているかを監視し、吹きこぼれなどで火が消えると、ガスを止めるんです。
ただ、このセンサーにゴミやススが付いていると、火が点いているという判断ができなくなります。
結果、点火ボタンを押しているセンサー解除中は火が点いても、ボタンから手を離すと、センサーが働きガスを止めてしまいます。
この場合、ブラシで擦ったり、紙ヤスリで軽く擦ったりして汚れを落とすと、火が点くようになります。
熱電対に炎はあたっていますか?
熱電対は、炎が当たって温度が上がることで、火がついていると判断する安全装置です。
ですので、吹きこぼれなどで、バーナーの一部にしか火がつかなくて、熱電対に炎が当たらなければ、火がついていると判断できません。
この場合、バーナーキャップを外して水分を拭き取ると火がつくようになります。
センサーが故障している
電池があって、熱電対の汚れを落としたのに、手を離すと火が消えるときは、センサーが故障している可能性が高いです。
熱電対かマグネットを交換すれば直るのですが、素人では難しいですし危険です。
その場合は、ガス会社に修理を依頼するのが良いです。(料金は業者によってバラつきがありますが、私の会社の場合には、2000円~7000円位です)
点火ボタンが押せない
点火のボタンを押そうとしても、ボタンが押せない場合には、チャイルドロックが働いている可能性が高いです。
チャイルドロックとは、上の写真のつまみで、これをスライドさせるとロックしたり解除したりできます。
これは子供のイタズラを防止するための機能ですが、ガスコンロを掃除したときなどに、意図せずこのつまみが動いてロックされることがあります。
点火ボタンが動かない場合には、ここをチェックしてください。
修理を依頼するなら
以上、ガスコンロが点かないとき、修理を依頼する前にチェックすることを書いてきました。
私の経験上、これらをチェックすることで、50%以上の確率で直ってしまいます。
これらの項目をチェックして、それでもダメなら修理を依頼することをオススメします。
最後に、修理を依頼するなら、現在使っているガス会社に連絡するのが良いと思います。
というのは、ガス器具メーカーに依頼するよりも、格安で修理してもらえることが多いからです。