どうして地震が起こったときガスコンロを消さなくても良いのか?
「地震が起こったらガスコンロを消さなくては!」というのは過去の話。
現在では、「地震が起こってもガスコンロを消しに行かない!」が常識です。
けれども、しっかりとした理由が説明される機会は少ないので、「本当に消さなくても良いの?」と疑問に思っている方も多いはずです。
そこで今回は、ガス会社に勤務し、ガスコンロの修理や販売を仕事にしている立場から、「地震が起こってもガスコンロを消しに行かなくても良い理由」を解説していきます。
安全装置が充実しているから
結論から述べますと、地震が起こってもガスコンロを消さなくても良い理由は、「安全装置が充実しているので、ガスを止めなくても漏れない!」ということです。
具体的な安全装置として
・サーモカップル(熱電対)
・ガスメーターの耐震装置
・ガスコンロの耐震装置
が働いて、ガスが漏れないようになっています。
では、以下で、それぞれの安全装置がどのような役割をして、どうやってガスを止めているのかを解説していきますね。
サーモカップル(熱電対)
サーモカップルとは、ガスコンロのバーナー部分に付いている、鉛筆のような突起物です。(熱電対とも呼ばれます)
下の写真の、丸で囲んだ突起物ですね。
よほど古いガスコンロを使っていなければ、あなたのガスコンロにも付いているはずですよ。
これが、なんの役割を果たしているかといいますと、ガスコンロに火がついているかを見張っていて、火が消えるとガスを止める働きをします。
例えば、地震の揺れで、鍋がこぼれて火が消えてしまったとしましょう。
サーモカップルがなければ、ガスがそのまま出続けるので、ガスが漏れて爆発する危険があります。
しかし、サーモカップルが付いていれば、鍋がこぼれて火が消えた瞬間にガスが勝手に止まるんです。
なので、火が消えたのに、ガスが漏れ続けて爆発するということはありません。
昔のガスコンロには、サーモカップルが付いていませんでした。そのため、地震が起こったらガスを止めに行くというのが常識だったと思います。
しかし、今は、業務用コンロやカセットコンロを除き、サーモカップルが必ず付いています。
ですので、慌てて止めに行く必要はないのです。
ガスメーターでガスを止める
ガスメーターでも、地震が起こるとガスを止めるようになっています。
ガスメーターとは、下の写真の白い箱のようなもので、あなたがどれくらいガスを使ったかを計測するものです。
このガスメーター。使用量を計測するだけでなく、地震が起こるとガスを止める機能が付いています。
具体的には、震度5以上の地震が起こったときにガスを使用していると、ガスメーターがガスを止めるんです。
私はガス会社で働いているので、強い地震が起こると、「ガスが出なくなった」という電話を頂きます。
この安全装置がしっかりと機能している証拠ですね。
この機能もあるので、大きな地震が起こったときにも、慌ててガスを止めに行く必要はありません。
ガスコンロにも耐震装置が付いている
上で書いた2つの機能に加え、さらに、最近のガスコンロには耐震装置が付いているものもあります。
ガスコンロに地震を感知する機能が付いていて、大きな地震が起こると、ガスを止めるようになっているんですね。
個人的には、サーモカップルとガスメーターだけでも十分に安心だと思うので、安全装置を付けすぎ!と思ってしまいますが・・・。
まあ、「さらなる安心を!」ということなんですかね?
とにかく、ガスコンロにも地震を感知して、ガスを止める機能も付いているので、慌ててガスを止めに行く必要はありません。
ガスを止めに行くほうが危険
以上で書いてきたように、
・サーモカップルでガスを止める
・ガスメーターでガスを止める
・ガスコンロでガスを止める
という安全装置があるので、慌ててガスを止めに行かなくてもガスは漏れません。
なので、地震が起こったときも、慌ててガスを止めに行かなくても大丈夫です。
それなのに、揺れている最中に慌ててガスを止めに行くと、こぼれたお湯などで火傷をしてしまう可能性がありますよね?
そう、ガスを止めに行く行為は、逆に危険なのです。
ですから、はっきりと言ってしまうと、「地震の揺れが収まるまではガスコンロには近づかない!」が正解となります。