どうして先行者の滑走ラインを追いかけてスキー場外に出てはいけないのか?

先行者を追いかけない アイ

スキー場のコースから外れて出ていく、1本の滑走ライン。

それを見つけたとき、
「このラインを追いかければ、おいしい斜面を滑れるんじゃないか?」とか、

「誰かが滑っているのだから、自分が行っても大丈夫だろう?」という気持ちを抱いてしまうのは、パウダー好きなら当然だと思います。

そして、正直な話、そのラインを追いかければ、かなりの確率でおいしい斜面を滑り、何事もなく戻れます。

ですが、そのラインを、安易な気持ちで追いかけるのはオススメできません。

そこには、遭難するリスクもあるからです。

今回は、先行者のラインを追いかけるのが危険な理由を、「ルールだから」とか、「マナーだから」とかいう曖昧な精神論ではなく、安全面から主張していきたいと思います。

先行者がどんな人が分からないから

先行者の滑走ラインを追いかけるのが危険な理由は、そのラインを残した人が、どんな人か分からないことです。

こう書くと、「迷った人の滑走ラインを追いかけて、自分も迷う」を想像するのではないでしょうか?

もちろん、その可能性もあります。

ですが、私は、逆の場合でも危険があると感じています。

・先行者の滑りが上手い
・先行者の装備が充実している

などの場合です。

以下で、その理由を説明していきますね。

先行者の滑りが上手いと危険な理由

先行者の滑りが上手く、あなたの滑走能力と差がある場合には、あなただけ遭難する可能性があります。

例えば、先行者がメチャメチャ上手くて、そのラインの先は、あなたが滑れないような急斜面を滑っていることだってあるのです。

この場合、急斜面を回避すると、先行者のラインを見失ってしまいます。

そうなったとき、あなたは無事に戻れるでしょうか?

また、先行者がツリーランがメチャメチャ上手かった場合。

先行者は、狭いツリーをうまく滑りつないで、なんの苦労もなしに戻ります。

けれども、あなたにその技量がなければ、スピードを維持してツリーを抜けられず、あなただけパウダーに埋まってしまいます。

斜度があるところなら、ちょっとくらい埋まっても平気ですが、斜度がなければ大変です。

先行者の滑った跡を、あなたはパウダーに埋まりながら、歩いて追いかけなくてはいけません。

そうなって、体力が尽きたり、時間が過ぎたりしてしまうと、あなたは遭難者になってしまいます。

ちょっと極端な例を書きましたが、先行者が上手かった場合、そのラインを追いかけることにはリスクがあるのです。

先行者の装備が充実していると危険な理由

先行者の装備が充実していた場合にも、そのラインを追いかけることには危険があります。

例えば、先行者がスノーシューを装備していた場合です。

この場合、先行者は、スノーシューを使って戻ることを想定し、そこに滑り込んでいるのかもしれません。

ですが、あなたがスノーシューを装備していなければ、そのラインをスノーシューなしで追いかけることになります。

スノーシューとツボ足では、行動力に差がありすぎます。

きっと、あなたの体力は尽きてしまうでしょう。

滑走ラインを見ただけでは、先行者がどんな装備をしているか分かりませんよね?

知らない誰かの滑走ラインを追いかけることには、そんな危険もあるのです。

先行者が上手くても危険

一般的に、スキー場から外に出ていく人はその場所に詳しいので、そのラインを追いかければ、無事に戻れると考えがちです。

事実、スキー場から出ていく、最初のラインをつける人は、その場所に詳しいことがほとんどです。

なので、その人が道に迷っている可能性は、限りなく低いと言えます。

だから、「大丈夫だろう!」と思って追いかけてしまうのですが・・・。

上で書いてきたように、先行者が上手くてもリスクはあるのです。

そのことも知っていただきたいのです。

コース外を滑りたくなるのは当然

ちょっと偉そうなことを書いてきましたが、私は、「スキー場のコース外に出るな!」と言いたくて、この記事を書いているわけではありません。

もちろん、スキー場が滑走禁止にしている場所を滑るのはいけません。

しかし、最近のスキー場は、コース外やバックカントリーとしての入山を、開放していることろがありますよね?

私がよく行く八甲田もその代表です。

そんなスキー場に行くと、スキー場外に出ていく滑走ラインはよく見かけます。

これを、安易な気持ちで追いかけると、大変なことになる可能性があると言いたいわけです。

そのことには十分注意して、行動して下さい。

私も気をつけます。